
たまたま見つけた格安弾丸ツアーが、福岡発ベネチア2泊6日の旅。
ホテルはなんと、映画「ツーリスト」で舞台になったり、朝食での絶景が有名で、大前研一さんが「世界一の朝食」と評したという、サンマルコ広場近くの高級ホテル「ダニエリ」だった。
映画「ツーリスト」は見ていて、詳しい内容は覚えていなかったけど、なんとなくゴージャスでクラシカルな雰囲気のホテルが舞台になっていたことは覚えていたので、さっそく予約してみた。
今回のツアーは、格安なのに水上タクシーでの送迎がついていて、アンジョリーナ・ジョリーがホテルに到着したところと同じ、運河から直接つながった入り口から入るようになっていた。

大運河から少し横の細い水路に入ったところにある入り口に水上タクシーは横付けされる。
そして、映画で見た通りのステンドグラスとベネチアングラスで彩られたロビーへと続いている。
歴史と伝統を感じさせるシックでアンティークな雰囲気を醸していて、アンティークが好きな人には感動モノのホテルかもしれない。


私は個人的にはシンプルモダンなインテリアが好きなので、歴史を体験するような気分でホテルの古い雰囲気を味わっていた。
部屋もシックでアンティーク。悪く言えば古い雰囲気なのだが、ヨーロッパの建物は古いものが残っていることに価値があることが多いので、
ホテルというより文化遺産や美術館に宿泊すると思えば、しっくりくると思う。

ダニエリのスタッフも、接客業というより、役場の職員という雰囲気で事務的に働いている人が多かった。
文化遺産の管理人ならそんなものなのかもしれないと思う。
歴史のある高級ホテルという雰囲気ではなくて、実際にロビーのカフェやバーに来ていたのは、中国や韓国の団体さんや、アメリカの中高年の団体さん。
日本の中高年の団体さんもかなり来ていて、シックとは程遠い騒がしさになっていた。
しかし、このホテルはベネチアを代表する老舗高級ホテルとして、今後もメディアにも登場することもあると思うので、よい思い出にはなったと思う。
次に、肝心の朝食についてレポートすると、朝からプロセッコというスパークリングワインを飲みながら、ベネチアのひらけた美しい海の景色をながめたら、気分は素晴らしく、記憶に残る朝食になる。

景色は素晴らしいが、味や種類や内容は、日本なら一般的な中~高級ホテルの朝食なので、おいしさを期待してはいけない。
ただし、ヨーロッパは、朝食が質素なホテルが多いので、ヨーロッパ基準では贅沢な内容の朝食かもしれない。
スタッフも役場の係員という態度のひとが多い(特におじさんスタッフ)ので、くつろぎや優雅さを感じる雰囲気ではない。
団体さんがいたからか、食べてる途中でもちょっと手を置くと、すごい勢いでスイスイと皿を下げていく。
カフェラテを持ってテラス席へ置いて、あちこちで写真を撮っていたら、おじさんスタッフにさっさと片付けられたり(若い人や女性スタッフは感じがいい人もいる)。
ダニエリの朝食ではセレブな雰囲気を体験できると思ったけど、スタッフはおもてなしの心より、事務的に働くことを優先しているようで、高級ホテルなのに残念な気持ちになりました。
ここはすでに有名なので、団体客やツアー客のためのホテルになっていて、本当にセレブな客は別のホテルに宿泊しているのでしょう。
ただ、このホテルのすばらしさは、ベネチアを代表する有名さと、便利な立地と、朝食のテラスからの景色にあるので、そこは最高のホテルだと言いたい。
今回は2泊宿泊して、ベネチアの歴史の一部を体験し、2回世界一の朝食を楽しむことができたので、その体験と景色は脳裏にしっかり残っている。
そして、ホテルを一歩出た途端に目の前に広がるベネチアのパノラマ風景と、ゴンドラがぶつかり合う「ごろろん、ごろろん」という音。
この音とセットの景色が「ザ・ベネチア」の景色なんだと思う。
