チケットを買うための行列が動き出しても、チケット売り場まではかなりの距離がある。
ぞろぞろと歩いて行くと、通路には水やコーヒーを無料で配っているコーナーがあったり、選手の等身大のパネルがあったり、気が紛れる工夫がある。
コーヒーをもらおうと思ってコーヒースタンドの方に行くと、テレビクルーがやってきて、突然、往年の名選手でウィンブルドン覇者のイバニセビッチが目の前に現れてコーヒーを配り始めた。
イバニセビッチ(イワニセビッチ)は190センチを超える長身で、現役を引退してもカッコ良さは健在だった。最近はコーチとしても活躍していて、テニス界の重要人物といえると思う。
そんなサプライズ企画があって、退屈はしないような工夫がしてあった。


芝生の広場からチケット売り場までは林の中を歩いて行く。
そしてやっとウィンブルドンのチケット売り場のゲートにたどり着くのだ。
ここではチケットの価格は定価なので、数千円で入場できる。
ただし、スケジュール後半になるにつれて高くなっていくシステムなので、行く日の価格はネットで調べておいたほうがいい。

ここを抜けるとテレビでもおなじみのドロー表があり、すぐにセンターコートの前に出るようになっている。
この日のセンターコートは第一試合がフェデラーになっていた。
日本のクルム伊達公子選手は、16番コートの第一試合で、途中で体調不良などもあり、第一試合で姿を消した。
錦織圭選手の試合を見ることができなかったが、この大会では3回戦まで進み、デルポトロに敗れている。
それでも日本人選手が3回戦に進んだことは、松坂修三さん以来、17年目の快挙だったので、すばらしい結果だった。
錦織選手の試合結果はこちらから


ナンバー2コートでは、あまりメジャーな選手の試合はなかったが、ウィンブルドンの雰囲気を楽しむことができた。
どこにいってもすごい人混みで、指定席がなかったらゆっくり座る場所はなかったかもしれない。
テレビでおなじみのマレーマウンテン(旧ヘンマンヒル)も大変な混雑で、大スクリーンで観戦している人でごった返していた。
一般コートは指定席ではないので、座れたり座れなかったりで、歩きながら観戦したりした。


実際のウィンブルドンは、テニスの聖地という硬いイメージはなくて、ラフでリラックスしていて、レジャーという印象のテニスイベントだ。
ちょっと違うのは、シャンパングラスを傾けている人もけっこういて、ただのスポーツイベントではない格上の雰囲気が少しだけ漂っていた。
ウィンブルドンといえば、イチゴの生クリームかけ「ストロベリー・クリーム」をテレビでよく見ていたのでそれだけは行列してゲットできた。
イチゴに生クリームと聞くとホイップした生クリームをイメージしていたが、ホイップなしの生クリームが牛乳みたいにかけてあった。でもこれがあっさりして美味しかった。ホイップクリームよりもイチゴの美味しさを引き立てているように感じた。

フェデラーやシャラポワなどの有名選手は歩く姿も見ることはできなかったので、ウィンブルドンはテレビで見て想像していたのと実際に行って見るのでは違う印象だった。
テレビの方が有名選手の迫力がある試合シーンがたくさん見れるし、試合中心のイメージだったが、自己手配で当日券を買っての観戦なら、試合半分でレジャーを楽しむという気持ちで行った方がいいかもしれない。
テレビで見たイチゴクリームを食べながら、マレーマウンテンで6月のウィンブルドンの風を感じながらスクリーンで試合を見たり、センターコートをバックにスパークリングワインを飲むのは、最高に楽しくて一生の思い出になるレジャーだから。
観光気分でお土産にウィンブルドンのロゴ入りのタオルを買って、帰りは夕暮れの街を眺めながら、サウスフィールズ駅ではなくウィンブルドン駅まで歩いてみた。
そこは住んでみてもいいなと思うような、のどかでかわいい街だった。

